SSブログ

『春の海をみながら…』 [ベーシックインカム]

「ベーシックインカム・実現を探る会 BIメールニュースno.065」
からの転載です。

───────────────────────────────────
『春の海をみながら…』      白崎朝子
───────────────────────────────────

 同志社大学であったベーシックインカム日本ネットワーク設立集会で発言してから、10日ほどたった4月初旬。私は神奈川の城ヶ島を訪れた。釣糸を垂れる人が数人しかいない春の海は、穏やかな波の音が響いていた。

 しばし海を眺めていたら、2年前人手が足りない認知症グループホームで働いていた時の記憶が蘇ってきた。常勤職員が一人退職し、一人一人の高齢者の気持ちや状態に寄り添うゆとりがなくなりつつある時の記憶だ。

 それでも精神的に不安定になっているAさんを元気づけたくてベランダに椅子を出し、二人で春風にあたった。ほんの40分程だったがAさんは本当に喜んでくれた。フロアに残った高齢者八人は一人しかいない若い職員に任せ、Aさんと春風の気持ち良さを味わった。そういった束の間の時間は、時給いくらとかでは換算できない豊穣な営みだった。私がAさんと共有できた穏やかで柔らかい時間…。その意味のもつ深さ、いとおしさの記憶を春の海を見ながら抱きしめた。

 利用者から月20万円もの利用料を取っているにも関わらず、職員の給与は夜勤を月に7回もするフルタイムでも手取り17万円程しかなく、職員の離職に歯止めがかからない。人生の終焉の時間に寄り添う高齢者介護という仕事は、本来ならば介護労働者にも高齢者との関わりの中から生まれてくる賜物がたくさんある。むろん人と人との関わりだから、綺麗事ばかりではない。それでも、波の音を聴いていると静かに蘇ってくるのは、関わった高齢者たちの笑顔だ。


 BIは人が生まれた瞬間から死ぬ瞬間まで、そのかけがえのない生存に対する保障であるはず…。本来、すべての人がどんな状態であっても、その存在を全面肯定されるというその哲学的な意味において、私は共感し支持してきた。そして、人の魂に寄り添う介護労働は低賃金とか、ダーティワークとか、3Kとか、そういったくくりだけでは語り尽くせない意味をもっている。

 しかし「BIが導入されたら、人が嫌がる3Kの介護労働をやる人間がいなくなるのでは?」という疑念がBI推進派からよく出てくる。私は、その発想じたいが現場を担う介護労働者に対する「暴力」ではないかと思う。自分自身は介護に関係ないといった高みからの発想にしか感じられないのだ。

 介護労働を3Kと貶めることが介護労働者だけでなく、介護を受ける当事者たちに対しても失礼だとは思わないのだろうか?介護を受ける当事者と介護労働者が営む時間の豊かさを、きちんと保障していくためのBIという発想がまるでない。政府が失業対策に介護や農林業をと言うのと同レベルの発想の貧困ではないか。

 私は私なりの想いと言葉で、介護という営み・仕事の豊かさや、その価値をきちんと伝えていかなければならないと思っている。


白崎朝子(介護福祉士・ライター)
『安全な労働と所得保障を求める介護労働者の会』会員・小規模勉強会『カナリアネットワーク』を主宰。著書「介護労働を生きる」(現代書館)他。


ベーシックインカム・実現を探る会
http://bijp.net/

コメント(0) 

リチャード・コシミズ静岡浜松講演会 本日13:30~ [報道されない真実]

2010年9月18日 リチャード・コシミズ静岡浜松講演会【QUO VADIS 日本】PV


2010年9月18日 静岡浜松講演会 【QUO VADIS 日本】PV.mpg です。 (richardkoshimizu's blog 9/15)
http://richardkoshimizu.at.webry.info/201009/article_49.html

13:30~ 同時中継URL ↓
http://www.ustream.tv/channel/%E4%B8%8D%E5%B1%88%E3%81%AE%E7%8B%AC%E7%AB%8B%E5%85%9A%E6%94%BE%E9%80%81%E5%B1%80
コメント(0) 

「月光」 [music]

鬼束ちひろさんの「月光」


コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。