「もし電子書籍ができたら」 [ベーシックインカム]
下の記事は、「ベーシックインカム・実現を探る会
BIメールニュースNo.083 2011.1.29発行」からの転載です。
ベーシックインカム・実現を探る会
http://bijp.net/
BIメールニュースNo.083 2011.1.29発行」からの転載です。
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【1】もし電子書籍ができたら
ベーシックインカム・実現を探る会 主任研究員 古山 明男
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ベーシック・インカム(以下BI)が必要になるもっとも大きな要因は、科学技術の
進歩であると思う。
最近の身近な技術革新の中に、考えさせられる例がある。電子書籍である。電子
書籍が普及すると、雑誌や書籍が情報化され、「本を買う」ことは「内容をダウン
ロードする」ことになる。すべての本が電子化することはないだろうが、かなりの
本が置き換わるだろう。
消費者にとってはありがたい。本は安くなるであろう。本の品切れもなくなるし、
置き場所に困ることもなくなる。
しかし、電子書籍化で失業者がでる。印刷業界の仕事はかなり減るだろう。製本
業界は大打撃を受けるだろう。製紙業にもかなりの影響がでるだろう。書店も減る
であろう。
電子書籍機器の製造・販売、システムの維持などで増える雇用もある。しかし、
失われる雇用の方が大きいだろう。電子書籍は、現在の電器メーカーと情報産業が
ちょっと手を広げるだけですむからである。
支払われる人件費の総額は減る。出版界全体としての売上げも減るし、GDPも
減る。
技術が進歩したために、人間の労働が不要になり、失業者が出る。これは、産業
革命以来の問題である。多くの人が、技術の進歩と機械の発達に疑問の目を向けた。
しかし、機械に目をとられ、所得=賃金であることは疑われてこなかった。
資源を浪費しないことと、人間を貶めない労働で生産をできるのはよいことでは
ないか。それが科学技術の成果である。しかし、いかなる社会体制であれ、人間が
賃金によってしか収入を得られないなら、人間の仕事を減らす機械は、人間の敵に
なるであろう。生活できない人がたくさんできる。その問題を解決するのがBIであ
る。科学技術と人間が共存するには、BIが必要である。
だれでも生活できるように完全雇用を目指すというのが、従来の考え方である。
完全雇用を実現するため社会主義国は企業を国有化したが、非効率で自発性のない
労働がはびこり、国全体が倒産した。資本主義国は、効率追求を優先させるが、失
業者をたくさん生み出し、完全雇用には程遠い。
BIは文明史的な意義を持っている。技術の進歩によって解放された労働力を、自
由にいかなる領域に振り向けることも可能になるからである。BIによってはじめて、
我々は科学技術の果実を、社会にもたらすことができるであろう。
<古山明男 氏 プロフィール>
古山教育研究所を主宰
http://www.asahi-net.or.jp/~ru2a-frym/
ブログ「変えよう!日本の学校システム」は多くの支持を受けています。
http://educa.cocolog-nifty.com/blog/
2009年7月12日の当会主催の勉強会で「ベーシック・インカムのある社会」を講演。
講演録
http://bijp.net/transcript/article/91
http://bijp.net/transcript/article/98
ベーシックインカム・実現を探る会
http://bijp.net/
2011-01-29 12:53
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